得意淡然 失意泰然

生きて生きて生きて生きて生きる

手柄をゆずる

カーネギーの信頼を築く10原則の中の1つである「手柄をゆずる」についてです。言い換えますと何かがうまくいっても「みんなのおかげ」と思うなど周囲の人に感謝の気持ちを忘れないといってもいいかもしれません。組織において細かなところにメンバー相互の気持ちがもっともっと行き届けばより一層密なる協力関係が築けるものです。まずは以下の寓話をお送りします。

とある牧師の以下の説教。 「ガラリヤ湖は魚をはじめ、いろいろな生命に満ち溢れています。 一方、死海は死んだ世界で生き物はいません。どちらもヨルダン川の豊な水が流れ 込んでいるのになぜこうも違うのでしょう。ガラリヤ湖は流入した水をすべて放出して いますが、死海はすべてを自分のものとして溜めたままにしています。そんな死海の ように私たちも新鮮なものやいいものをひとりじめしていると人生が塩辛い涙の湖に変わってしまうのです。」 一般的に日本人は奥ゆかしい民族なので成功を独り占めするような気質の人は少ない印象がありますが、細かい部分まで目を凝らしてゆくと注意すべき点もあるのではないかと思います。もっと言えば、「手柄をゆずる」という原則は、自分が注目されるためのものではなく自分がどんな人間でありたいかという信念から生じているものかどうかというところにポイントがあります。「手柄を人にゆずる」ということの意味は、あくまで 「互恵」であって、利益を得るために利益を与えるといった取引的な意味では決してありません。人間関係を育むために与えるといった趣旨なのです。真の友情で結ばれたもの同士はお互いに相手に報いる方法を探すでしょう。もしそういうつながりの精神が組織の中に、あるいは価値連鎖の全体に拡がったら一体何が起きるでしょう? 次ぎの2つは確実です。 ①そこに含まれる全員がもっと人生を楽しめるようになる。 ②協力関係が自然に生まれ成功の可能性が高まる。 それが誰のアイディアとか、最初に言ったのは誰かとか、といったことは長い目で見れば当人しか覚えていません。人がいつまでも覚えているのは誰かの度量の大きさや誰かの気前のよさです。手柄を他人にゆずればゆずるほど人々の記憶に強く残り、結局は自分が手柄をたてるというのはおもしろい逆説でしょう。こんな極端な例はないでしょうが、最悪のリーダーはどんなリーダーかという問いの明確な回答は以下のとおりであると同意が得られるでしょう。 「調子のいいときは手柄をひとりじめにし、うまくいかなくなると責任を他に押しつける人」 そうした態度ほどその人が利己心のかたまりだということを明瞭に告げるものはないし リーダーの利己心ほど部下に早々に背を向けさせるものもないでしょう。自分のことしか考えない人間を友達にしたい人がいるでしょうか。この正反対の質問に答えるのも簡単です。 喜んで手柄をゆずろうとする人間を友達にしたくない人がいるでしょうか。他人の貢献をあま すところなく認める人間をリーダーにもちたくない人がいるでしょうか。

ロナルド・レーガン大統領の執務室のデスクの上に掲げられた盾にはこう刻まれていたといいます。 「人間は何でもできるし、どこへでも行ける。誰が栄誉を得るかを気にしなければ」 彼が人間としてもリーダーとしてもたくさんの人に慕われたのは自分をかえりみず他人を優先しようとするこういうところのためだった言われています。

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